カタログやWebサイトを発注する前に、必ずやっておきたいこと

カタログやWebサイトを作ろうと考えたとき、多くの方が最初に気にするのは「デザイン」や「見た目」だと思います。もちろん、デザインは重要です。第一印象を左右しますし、雑なものはそれだけで信頼を損ねます。
ただ、実務の現場で数多くの制作案件を見てきて感じるのは、成果の大半は、発注前の整理でほぼ決まっているということです。

準備が足りないまま制作に入ると、「きれいだけど売れない」「営業が使わない」「言っていることがページごとに違う」「結局、数年後に作り直す」といった結果になりがちです。今回は、カタログやWebサイトを発注する前に、最低限ここだけは整理しておきたいポイントをまとめます。


目的と読者を「一点集中」で決める

まず決めるべきなのは目的です。問い合わせを増やしたいのか、展示会で配布したいのか、営業資料として使いたいのか、あるいは採用目的なのか。この中から一つだけ選びます。
全部大事だからと盛り込もうとすると、結局「誰にも強く刺さらない媒体」になります。

目的が決まったら、次は読者です。「法人向け」「製造業向け」といった括りでは、まだ広すぎます。理想は、「製造業の工場長」「購買担当者」「現場責任者」のように、一人の顔が浮かぶレベルまで絞ることです。
誰に向けて書くのかが決まると、使う言葉、説明の深さ、構成の順番まで、自然と一本の軸が通ります。


強みは3つまで。「安い」は理由まで語る

次に整理したいのが強みです。ここでよく見かけるのが、「安いです」「実績があります」「幅広く対応できます」といった、どの会社にも当てはまる表現です。
これだけでは、「だから御社を選ぶ理由」にはなりません。

大切なのは、なぜ安いのか、どこが削られていないのか、その安さが誰の役に立つのかまで説明できることです。
例えばB2Cの場合、アパレル雑貨を扱うある会社では、以前は「低価格で高品質な商品を提供しています」と書いていました。しかし、それでは違いは伝わりません。そこで、「中国工場との直接取引と、国内での最終検品を組み合わせることで、百貨店品質の商品を量販価格で提供しています」と表現を変えました。
すると「安い=不安」ではなく、「安い=仕組みがある」という印象に変わりました。

B2Bでも同じです。金属加工メーカーの事例では、「低コスト・短納期・高品質」という定番表現を、「切断・曲げ・溶接までを自社内で一貫対応することで外注費を抑え、結果としてコストを下げています。さらに設計段階から相談いただくことで、材料ロスを減らし、トータルコストを下げる提案が可能です」と書き換えました。
その結果、「単価が安い会社」ではなく、「コスト全体を下げてくれる会社」として営業現場で評価されるようになっています。


カタログとWebは「使われ方」まで設計する

カタログとWebサイトは別々に作られがちですが、本来はセットで設計した方が効果が高い媒体です。例えば、カタログは全体像と安心感を伝える役割、Webサイトは詳細説明と問い合わせ導線を担う、という分担が考えられます。
展示会で配ったカタログをきっかけに、後日Webサイトを見て問い合わせが来る。この流れができている会社ほど、カタログもWebも営業ツールとして機能しています。

同時に、「営業がどう使うか」も事前に決めておく必要があります。商談のどの場面で見せるのか、PDFで送るのか、紙で渡すのか。ここが曖昧なままだと、完成後に「結局、誰も使っていない資料」になりがちです。
また、成果の定義も一つだけ決めておきます。問い合わせ件数、資料請求数、商談化率、展示会の名刺数。どれか一つで十分です。成果が明確だと、制作会社との打ち合わせもブレません。


補助金を使うなら、なおさら発注前整理を

カタログやWebサイトの制作は、小規模事業者持続化補助金の対象になることも多くあります。条件を満たせば、カタログ制作、Webサイト制作、チラシやLP制作までまとめて申請できるケースもあります。
自己資金だけで進めるより、補助金を活用することで、一段レベルの高い制作物を目指せるのは確かです。

ただし、内容が整理できていないまま申請すると、「補助金は使えたけれど、成果は出ていない」という結果になりがちです。補助金を使う場合こそ、「何のために作るのか」「誰に届けたいのか」「どう使うのか」を明確にしておく必要があります。
発注前に最低限決めておきたいのは、目的、読者、強み3つ。この3点が整理できていれば、完成物の質は大きく変わります。

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