売上3億円規模の製造業が中小企業診断士に依頼すると、実際いくらかかるのか

「経営支援を外部に依頼したいが、正直、いくらかかるのか見当もつかない」

経営者の方と話をしていると、この言葉は本当によく聞きます。お金をかける覚悟がないわけではない。ただ、金額も中身も曖昧なまま決断するのは怖い。これは経営者として、むしろ健全な感覚だと思います。

本記事では、売上3億円規模のBtoB製造業を一つのモデルケースとして、中小企業診断士に依頼した場合、どこまでやって、どれくらいの期間がかかり、結果としていくらになるのか。その「現実的なライン」を、私自身の実務経験をベースに整理してみます。


今回想定する「よくある製造業」の姿

まず前提をそろえておきます。私が日々の支援現場でよくお会いする、典型的なBtoB製造業のイメージです。

業種は金属加工や機械部品製造。売上はおおよそ3億円、従業員は20〜30名ほど。親会社や特定の大口取引先への依存度が高く、年々、発注単価の引き下げ圧力が強まっている。現場は常に忙しそうなのに、決算書を開くと利益率はじわじわ下がっている。受注価格の判断基準は、いまだに社長の経験と勘が中心——。

こうした会社に共通する悩みは、突き詰めると一つです。「忙しいのに、なぜかお金が残らない」。売上は立っているのに、キャッシュが積み上がらない。この違和感が、経営者の頭の片隅にずっと残っています。


支援の核心は「原価管理」にあります

利益が出ない、資金繰りが常に楽にならない会社を見ていくと、多くの場合、原因は原価管理に行き着きます。製造業で原価管理が機能していない状態は、よく「底の抜けたバケツ」に例えられます。

どれだけ受注を増やしても、見積精度の甘さや現場での小さなロスによって、本来残るはずの利益が少しずつ漏れていく。気づいたときには、相当な金額になっている。私がこの規模の企業で行う支援は、派手な成長戦略ではなく、まず「このバケツの底を塞ぐ」ことから始まります。

具体的には、受注から納品までの業務フローを徹底的に可視化します。誰が、どこで、何をしているのかを図に落とし込む。すると、特定のベテランしか知らない手順や、部署間で情報が止まっている箇所、二度手間になっている作業が、驚くほどはっきり見えてきます。

次に、その「ムダ」を感覚論で終わらせません。手直しや待ち時間が、月間でいくらの損失になっているのかを数字にします。金額に換算された瞬間、現場の空気が変わります。「仕方ない」では済まされなくなるからです。

最後に、整理した原価データをもとに、3年程度の事業計画を組み立てます。金融機関に提出するためだけの資料ではなく、社長自身が日々の意思決定に使える計画です。どの製品に注力すべきか、どの取引条件を見直すべきか。その判断軸を、数字で持てる状態を作ります。


期間と費用感のリアルな目安

では、ここまでを責任を持ってやり切る場合、いくらかかるのか。私の場合、標準的な目安は月額30万円(税別)です。期間は原則12ヶ月。訪問は月2回を基本に、対面での打ち合わせと現場確認、加えて日常的なチャット相談を含みます。遠方の場合のみ、交通費を実費でお願いしています。

「30万円」と聞くと高く感じるかもしれません。ただ、この金額は、中堅社員一人分の人件費(社会保険料込み)とほぼ同水準です。社員を一人増やす代わりに、経営全体の利益構造を見直し、客観的に数字を管理する参謀を外部に置く、と考えていただくと分かりやすいと思います。

売上3億円規模の製造業であれば、原価管理の精度が上がり、利益率が1〜2%改善するだけで、この費用は十分に回収できます。単なる「コスト」ではなく、明確に回収可能な投資です。


なぜ「最初の3ヶ月」が重要なのか

それでも、いきなり1年契約を結ぶのは不安だと思います。コンサルタントにも相性があります。だから私は、最初の3ヶ月を「現状診断と信頼関係の構築期間」と位置づけています。

この3ヶ月で、財務分析と業務フローの洗い出しを行い、利益が漏れている箇所を特定します。その結果を見てから、支援を継続するか、一度自社で取り組んでみるかを判断していただいて構いません。

仮にここで終了したとしても、可視化されたデータや課題リストは、その後の経営に確実に役立ちます。何が問題で、どこから手を付けるべきかが分かった状態になるからです。


経営支援を依頼することは、目先の支出を増やすことではありません。無自覚に垂れ流していた損失を止め、会社の利益構造を作り直すための行為です。

「いくらかかるか分からない」という不安が、「この投資で、会社のどこを変えられるのか」という具体的な検討材料に変われば、本記事の役割は果たせたと思います。

※本記事は、特定企業の実例ではなく、売上3億円規模の製造業を想定したケーススタディです。


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