売上3億円規模の製造業が中小企業診断士に依頼すると、実際いくらかかるのか

「経営支援を外部に依頼したいが、正直、いくらかかるのか見当もつかない」
これは、私が多くの経営者とお会いする中で、ほぼ例外なく耳にする言葉です。
お金をかける覚悟があるからこそ、中身の見えない「不透明なもの」に踏み切れないのは、経営者として極めて健全な判断です。
本記事では、売上3億円規模のB2B製造業を具体的なモデルケースとして、中小企業診断士に依頼した場合の現実的な支援内容、期間、そして費用感を、私の実務経験に基づいてお伝えします。
Contents
今回想定する「企業モデル」
支援の現場でよくお会いする、典型的なB2B製造業の姿を想定します。
- 業種: 金属加工、または機械部品製造(B2B)
- 売上高: 約3億円
- 従業員: 20〜30名(パート・アルバイト含む)
- 状況:
- 親会社や特定取引先への依存度が高く、年々、発注単価の引き下げ圧力が強い。
- 現場は常に忙しそうだが、決算書を見ると利益率がじわじわと下がっている。
- 「いくらで受注すれば適正な利益が出るのか」という基準が、社長の経験と勘に頼り切りになっている。
こうした企業の共通点は、「忙しいのにキャッシュ(現金)が残らない」という悩みです。
支援の核心:なぜ「原価管理」なのか
利益が出ない、あるいは資金繰りが常に厳しい会社の多くは、原価管理の甘さという根深い課題を抱えています。
製造業において、原価管理が機能していない状態は「底の抜けたバケツ」で水を汲んでいるのと同じです。いくら受注を増やしても、現場で生じている微細なロスや、見積もり精度の低さによって、本来残るはずの利益がみるみる溶けていきます。
私がこの規模の企業で行う支援は、この「バケツの底を塞ぐ」作業に主眼を置いています。
1. 業務フローの徹底的な可視化
原価が合わなくなる原因は、現場の「見えない動き」にあります。まずは、受注から納品に至るまでのすべての工程を、誰が見ても一目でわかる「図」に書き起こします。
特定のベテランしか知らない手順、部署間で情報が止まっている箇所、二度手間になっている作業など、「ボトルネック」となっている工程を視覚的にあぶり出します。
2. 「工程のムダ」を金額に換算する
図式化した業務フローをもとに、現場で起きている「手直し」や「待ち時間」を、単なるミスとして片付けず、月間でいくらの損失になっているかを数字で突き止めます。数字で可視化することで、初めて現場は「変わらなければならない」という共通認識を持てるようになります。
3. 経営判断に使える事業計画の策定
可視化した原価データをもとに、「どの製品に注力し、どの取引を改善すべきか」という3年程度の事業計画を立てます。金融機関に見せるためだけのものではなく、社長が今日、明日の意思決定に使える「生きた計画」を目指します。
期間と費用感の目安
責任を持って組織の体質改善を行う場合、私の標準的な費用感は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
| 期間 | 原則12ヶ月(最初の3ヶ月を試行期間として設定) |
| 訪問頻度 | 月2回(対面会議 + 現場確認 + 随時チャット相談) |
| 月額費用 | 30万円(税別) |
| 備考 | 遠方の場合は別途交通費実費 |
なぜ「30万円」なのか
この金額は、中堅社員一人分の人件費(社会保険料等含む)とほぼ同等です。
社員一人を増員するコストで、経営全体の利益構造を再設計し、客観的な視点から「カネの流れ」を管理する参謀を雇う。売上3億円の企業であれば、原価管理の徹底によって利益率が1〜2%改善するだけで、この費用は十分に回収可能な「投資」となります。
なぜ「1年」かかるのか
現状を整理し、新しい管理体制を設計するのに3ヶ月。それを現場に導入し、試行錯誤しながら「当たり前」の習慣として定着させるには、どうしても1年の歳月が必要です。
「最初の3ヶ月」を大切にする理由
コンサルタントには相性があります。そのため、私は最初の3ヶ月を「現状診断と信頼関係の構築期間」として位置づけています。
この3ヶ月で、財務分析と業務フローの洗い出しを行い、貴社の「利益が漏れている箇所」を特定します。その報告を受けた上で、
- このまま支援を継続するか
- 一旦自分たちでやってみるかを判断していただきます。
もし途中で終了することになっても、その3ヶ月で可視化したデータや課題リストは、その後の経営にとって確かな資産となります。
おわりに
経営支援を依頼することは、目先の支出を増やすことではありません。
「無自覚に垂れ流していた損失を止め、未来の利益構造を作り直す」ための投資です。
「いくらかかるか分からない」という不安が、この記事を通じて「この投資で、会社の土台をどう作り替えるか」という具体的な検討材料になれば幸いです。
※本記事は、特定企業の実例ではなく、売上3億円規模の製造業を想定したケーススタディです。


